「健康経営」をゲーミフィケーションの観点で考察してみた
セガ エックスディー プロダクトマネージャーの黒田です。
最近、私はジムに課金しつつも通う回数が減ってきていることに課題を感じています。。。そこで今回は、「自分自身がどうやったらジムに通えるようになるのか(通いたくなるのか)」という視点で、近年注目されている「健康経営」というテーマを取り上げ、ゲーミフィケーションの観点で考察していきたいと思います。
この記事で分かること
・健康経営とは
・健康経営における“運動”の課題は何か
・ゲーミフィケーションとは何か
・ゲーミフィケーションを健康経営に活用してみようとするとどうなるのか
・ゲーミフィケーションの事例
■ 健康経営とは
多くの方は健康経営についてご存じかと思われますので、ワードの説明については、背景やメリットなどにサラッと触れるに留めたいと思います。
近年、少子高齢化に伴い、働き手不足や生産性向上などの課題が浮き彫りになり、「健康経営」が注目されています。
健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業が従業員の健康を重要な経営資源と捉え、積極的に健康管理や改善に取り組むことにより、企業全体のパフォーマンスや持続可能な成長を図る経営手法です。
健康経営が上手くいくことで、以下のようなメリットがあると言われています。
・生産性向上
・従業員のモチベーションとエンゲージメントの向上
・欠勤や離職率の低下
・医療費の削減
ここまでは健康経営そのものの話であり、中身としては「健康診断の実施とフォローアップ」「メンタルヘルス対策」「運動や栄養指導プログラム」「禁煙や飲酒対策」などさまざまな施策があります。
今回はその中でも“運動”に注目して「健康経営」を見ていきたいと思います。
■ 健康経営における“運動”施策の問題点と課題
※ここから先、私見のため極端な物言いが出ることをご了承ください!
まず、運動について凄く極端な言い方をすれば、「従業員は苦労してまで健康的になる理由がない」または「健康的な行動をしていても健康に向かっている実感を持てない」という側面があると思います。
はじめに、少し性善説ではありますが、健康経営自体に不満があるとか、運動のメリットについて理解がないというわけではないと思います。
もっと掘り下げて言えば、“運動”は疲れるし、面倒なんです。「趣味がスポーツ」とか「身体を鍛えることが好きだ」ということ以外で、やるべき理由を持ちづらいとも言えます。
実際にスポーツ庁の調査でも、「運動を実施する頻度が減った、またはこれ以上増やせない(増やさない)」事の理由として、トップの「仕事や家事が忙しいから」という物理的な時間課題の次に「面倒くさいから」がランクインしており、60代以上の高齢者を除けば、全世代でこの傾向は変わりません。
出典:スポーツ庁 令和2年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」について
私自身、それなりに運動が好きであり、身体を鍛えることも好きで、ジムの定額プランの契約をしていますが、徐々に通う頻度が減っています。個人的に好きなサウナまでついているのに…。
ここまでお話しして「じゃあ健康経営施策で社員に運動を促す施策なんて、やっても意味ないじゃん」と思うかもしれませんが、「やり方」次第でこれを覆すこともできます。この様な課題に対して効果を発揮するのが、「ゲーミフィケーション」です。
次からは「ゲーミフィケーション」の考え方を使って解決策のイメージをご説明します。
■ ゲーミフィケーションとは何か
具体的な解決策イメージの前に、「ゲーミフィケーション」の理解がまだ断片的に捉えられていることが多いため、ゲーミフィケーションについて簡単に説明します。
ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素(例:ポイント獲得、報酬、ランキング、レベルアップなど)を、非ゲーム領域で活用することです。楽しさや競争心を引き出すことにより、ユーザーや参加者の行動を促進することができます。
皆さんがゲームする時、「なんか面白そう」「とりあえずやる」「気づいたらやり続けている」ということがありませんか?
ゲームには基本的にそういった要素が意図的に組み込まれており、それを非ゲーム領域へ取り入れることがゲーミフィケーションです。
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■ ゲーミフィケーションを健康経営に活用してみようとするとどうなるのか
ここでようやく、どんな取り組みになるのかをご紹介します。
まず、当社では人が持つ欲求を定義し、その欲求を刺激するためにゲームで使われている要素を整理した「ゲーミフィケーションボード」と呼ばれるフレームワークがあります。
今回は健康経営に合わせて、ゲーミフィケーションボードから一部を取り上げ、健康経営を加速させるためのアイデアをご紹介します。
先ほどお伝えした問題点では、
・苦労してまで健康になろうとしない
・健康を実感できない
の2つをピックアップしていたため、それに合わせた施策アイデアとします。
ゲーミフィケーションボードからは、「創造性」と「進展性」の要素を活用します。
創造性
自らの創造性を発揮できる(できている)と実感したとき、人はモチベーションが向上するという特性を活用する手法。
進展性
「進歩実感」によってモチベーションが刺激され、行動が喚起されることを活用する手法。
■ 「創造性」と「進展性」による健康経営アイデア
今回は、「創造性」からは“自由選択肢”、「進展性」の中から“ランキング”と“”段階ゴール”を活用したゲームをご紹介します。
実際のゲームで言えば、“ランキング”はゲームプレイの結果発表の際に表示される順位、“段階ゴール”はソーシャルゲームのミッション、“自由選択肢”はゲームの中での効率的な攻略法、といったイメージを持っていただければと思います。
今回の例として、作るものはパーティゲームのようなミニゲーム集を用意し、PCやスマホのカメラを用いて出来るミニゲームとします。
その中で、まずは“ランキング”と“自由選択肢”を掛け合わせ、各ミニゲームにそれぞれデイリーやウィークリーなどのランキングを用意します。ランキングは上位であれば少しだけ良い報酬、下位であってもランキングに載っている(プレイしている)場合は最低限の報酬が貰える設計としておきます。そうすることで、デイリーランキングがあれば、最低限1日1回はプレイしようという行動を促進します。
※ここでは報酬として健康食品や飲料など、生活の中でも特に消費する機会が多いものが望ましいです
また、各ミニゲーム集の中で、1日のプレイ回数に制限を付け、10種のミニゲームから2種までしかプレイできない、というような制限を設けることで、プレイヤーにはデイリーミッションで良いランキングを取るためには、その日の参加人数が少ないであろうミニゲームをチョイスする、という楽しみ方が生まれます。これが社内で5人程度しか参加していないミニゲームであれば、当然ランキング上位を取りやすく、自身の選択が良かったことによる有能感を得られることに繋がります。
次に、健康系サービスで欠かせないのは“段階ゴール”です。よくある運動のゴールとして、「体重を○○kgにする / 減らす」などの目標がありますが、この目標だけを追っていてもなかなか近づいている実感が湧かずに途中で断念してしまうことがあります。そのため、“段階ゴール”として「○○日ミニゲームをする」「○○回ランキング3位以内に入る」など、達成しやすいものから徐々に難易度を高めていくことや、1度達成した後にもすぐ先に次のゴールが見えることによって、常に達成感を得られるような設計にしておくことが重要です。
このように、ゲームにある要素をサービスへ組み込むことにより、少しでもユーザーの「やりたくなる」「ついやってしまう」というような体験を作り上げていくことがゲーミフィケーションの強みになります。
■ ゲーミフィケーション事例
ここまで、ゲーミフィケーションによる健康経営のやり方を説明しましたが、ちょうど私が先日体験した、運動に関して組み込めそうだと感じたゲーミフィケーションの他社事例もご紹介します。
健康に向けた施策ではないですが、気付いたら運動していた事例です。
2022年4月に東京タワーに『RED° TOKYO TOWER』というデジタルアミューズメントパークが誕生しました。
そこでは、ドラマ『イカゲーム』で行われている「だるまさんがころんだ」であったり、特殊センサー搭載のなわ跳びを使ったレーシングゲーム、穴あきゲートをくぐり抜けて進む脱出アクションゲームなど、さまざまなゲームがありました。
どれも映像やセンサーを用いており、身体を使う動きばかりでした。
それぞれのゲームをクリアするだけではなく、プレイヤー同士で過去の最高記録を競えるようなランキングが搭載されており、夢中になってゲームをプレイしていたら運動していた、という体験になっていました。
実際、私も汗をかくほどに運動しており、楽しくプレイし続けられました。
このような体験が会社にあると、社員が自主的に運動に取り組むことだけではなく、社内のコミュニケーション活性化であったり、出社率向上などさまざまな効果が見込めるのではないかと感じました。気になる方は是非まずは『RED° TOKYO TOWER』にも足を運んでみてはいかがでしょうか。
■ まとめ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。
今回は「健康経営」をテーマに取り扱いましたが、こんなサービスがあったら使ってみたいと感じていただけましたでしょうか。
私自身、運動自体嫌いではない、むしろ好きな方ですがモチベーションが上がらないことが多々あります。
健康施策に限らず、新しい取り組みをする際には「これまで取り組んでいなかった理由」があり、多くはユーザーが手にするまで、または手にした後も続けるためのモチベーションがないことが多いです。
そのため、ついやりたくなる状態を作り、更にやり続けたくなる仕組みを設けていくことが重要です。
ゲーミフィケーションは、今回のようにゲームで使われているユーザーのモチベーションを高めるための要素をゲーム以外のサービスにも取り入れる手法です。
当社では、このようにゲーミフィケーションを活用して企業や社会の課題解決をするためのサービスを、企画〜開発、そして運営に至るまで、伴走してご支援をしています。
是非この機会に、皆さまもゲーミフィケーションの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
リンク
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執筆:黒田 恭平|株式会社セガ エックスディー
大手銀行を経たのちに、新規事業特化のコンサルティング会社にて、ECサービスやSaaSプロダクトを中心に営業、マーケティング、カスタマーサクセスを経験。
最年少事業責任者兼地方支社長として、新規事業の立ち上げを主導。Webを活用した新規事業における企画やCPF~グロース領域を得意とし、株式会社セガ エックスディーに入社後は、ディレクターとしてクライアント企業と共にエンタメを活用した、新規事業の企画開発を担当している。
日々アニメとマンガばかり見ていて、その数は計800作品以上。
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