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【CX School】第1回 アイデアの出し方

『 CX School 』とは、セガのグループ会社、セガ エックスディーによる顧客体験( CX )設計の専門家養成プログラムです。 普段は企業の人材育成や社員教育として本プログラムを提供していますが、もっと皆さんに知ってもらう為に、プログラムの一部を Youtube の『 CX School 公式チャンネルで順次公開していくことにしました!

また、note上では、Youtubeで公開されている内容をテキストと画像でも順次公開していきますので、Youtube/note お好きな方で皆さまのお仕事のお役に立てたら嬉しいです。

今回は『【CX School】第1回 アイデアの出し方』と題して、記念すべきYoutube動画の第1回目を、テキストと画像でお届けします。


■ はじめに

本日は、我々セガ エックスディーが提供している『 CX School 』のご紹介をします。複数回にわたって提供していきますので、まずは第1回目をご覧頂ければと思います。
我々セガ エックスディーは「衝動で課題を解決する」「衝動で新たな体験価値を創出する会社」です。


■ 自己紹介

本論に入る前に、私の自己紹介をします。

セガに新卒で入社して、ゲームの企画やディレクションの経験を経て、その後、新規事業でゲーム周辺の新規サービスとデジタルサービスのプロデューサーやディレクターに就き、現在は株式会社セガ エックスディーのDXソリューション事業の事業管掌をしています伊藤と申します。

■ 今回の講義内容

全体の流れはこちらになります。

本日は「アイデアの出し方」についてお話しますので、ぜひ最後まで聞いていただければと思います。


■ 「 アイデアの出し方 」に入る前に

というところで、いきなりクイズになりますが

バットとボールの合計額が11,000円、バットはボールより10,000円高いです。ボールはいくらでしょうか?

色々なところでこのクイズを出すと、「1,000円」か「500円」のどちらかを選ぶことが多いです。

直感的に考えると、「1,000円」と答えてしまうのですが、しっかりと計算してみると、実は500円であると。このクイズをした時に、この様な結果になるのは何故か。

ここは我々(セガ エックスディー)が大事にしている部分ですが、機械と人間で大きく違うところは、機械はインプットが乏しければ間違えません。

人間は間違える
人間は常に合理的で、常に利益を追求して行動するかというと、そうではないです。
人間は間違ってしまう という事が、サービスデザインやビジネスを作っていく上で僕ら(セガ エックスディー)の前提であり、その話が今後(のCX Schoolの講義内容)につながっていきます。


また、人間は意外と合理的じゃないという事例で、八王子市の取り組みが非常に印象的なのでご紹介します。

「大腸癌の検査キット」の送付を行政が行う中で、どうやったら毎年継続的に受けてもらえるかという課題に対して、左側が「来年も受けられますよ」というポジティブなメリットをお伝えしたもの。
右側は「来年受けられなくなってしまいますよ」というネガティブな訴求。
この2つの中で、どっちが受診率が高くなったか。
両方言っていることは同じです。見せ方はちょっと違うだけですが、結論は右側の方が受診率が 7.2 %高くなったというのが事例として出ています。

これはなぜかというと、人間の特別な特性『 損失回避性 』というものが備わっているので、

人間は得をえるよりも損を回避するモチベーション:動機の方がおおよそ2倍ほど強いと言われています。
その中で、損失を回避しやすいような訴求をする方が、行動を促しやすいという事例の一です。

では、何で人間は合理的じゃないことが多くなってるのかの背景も、軽く触れていきたいと思います。

(画像の)左側に出ている「これまで」と(右側の)「現在」と書いてますが、「スペックも同じだし」「大競合も同じだし」「大体金額が決め手になるよね」っていうような状況になっていく中で、ちょっと古い情報ではありますが、

世の中にある情報量一人あたりの人間を消化できる情報量のギャップですが、実際に全部の情報を入手して判断をすることが難しい中で、合理的な判断ができないのがより顕著になっているのが今の時代。

従って、従来型のサービスデザインは、合理的で、利便性が高くて、使いやすい、というところが軸だと思いますが、今後今求められているのは好きになるとか、使いたくなるとか粘着質であるといったところが非常に重要な要素になってくるので、感情を持った人間としてユーザーを捉え、より粘着質な体験を作っていくことが、重要な時代だと我々捉えています。

その中で前段長くなったんですが

我々が提供している CX School はこの CX=カスタマーエクスペリエンス顧客体験を軸にした形で、

何を作るかという「企画力」と、どう作るかという「設計力」と、どのように進めていくかという「推進力」の大きく、3つの要素に分けた形で、それぞれ体系的にプログラムをご提供しています。


全体のカリキュラムはこちらになります。

本日は第1回目の「 アイディアの出し方 」をご紹介しますが、全体としてはこういった(上記画像)要素がプログラムの中にはありますので、是非チャンネル登録をしていただいて2回目、3回目も見ていただければと思っています。

では、早速本日1回目『 アイデアの出し方 』のご紹介させていただければと思います。

■ アイデアの出し方

- 行列の課題:

アイデアの考え方の前段になりますが「行列の課題」について触れていきます。

< 行列の問題点 >
・行列が長くて利用者の方がストレスになっている
・お店にとっても非効率である

という問題がある中で、一般的な対策は、実際に時間を予約できるようにして行列の時間を短くするなど、合理的で機能的で行列の時間を短くするのが一般的なアプローチと思いますが、我々としてはそこに対してマイナスを0にするよりも、マイナスに対してプラスの価値を与えることで相殺していくことができないか、というアプローチをしていきます。

対海外の事例ではありますが

テーマパークで行列が何時間もある中で、その待ち時間が辛くて体験を損なっていく中で、アトラクションを並んでる人同士で遊べるゲームを提供します。

そのゲームで遊んでいる方の中から、一定期間の間でランキング1位になると行列の一番前に行けるという、行列で待っている間でもワクワクできる体験。1 時間、2 時間の待ち時間もエンタテインメントの時間にすることで、行列によるストレスをプラスの価値で消していくと、むしろプラスにしていくというような取り組みをされている事例があり、そういった考え方を我々は大事にしています。

そこで、我々が考えている「面白いアイデア」はどういうものなのかもご紹介します。

- 意外性×共感性 :

我々はこの「面白い」というものを「意外性」と「共感性」という言葉で定義しています。この言葉の通り、「思いつかなかったけど、言われてみたら確かにそうだよね」というようなアイデアの時に、聞いてる人間は心が動く、面白いなと感じると我々は捉えています。

- ヒューリスティック:

その中で、本日ご紹介させていただく一つの手法はヒューリスティックです。

こちらも人間の基本特性を活用した「アイデアの出し方」のご紹介をします。
バイアスっていう言葉は皆さん、ご存知の方も多いのかなと思うんですけれども、一部の情報、限られた情報の中で思い込みをしてしまって間違えてしまうっていうようなものがバイアスだと思うんですが、同じように限られた情報の中で決めつけてしまうというのがヒューリスティックです。

人は「昔は面白かったな」って思ったものに近い体験をすると、「懐かしいな」「面白かったな」というポジティブな感情になるので、この要素を使っていくと、新しいアイデアの出し方ができるので、本日ご紹介するのが、「原体験アナロジー」というような手法です。

- 原体験アナロジー:

まず、自分が幼少期だったり、子供の頃に楽しかった、面白かった原体験を洗い出します。その中で是非自社のチームだったり、グループでやっていただければと思いますが、昔話で面白かったことを共有してもらい、「確かにそういうのあった」「自分もそういうのあった気がする」とった共感を得られるようなエピソードが必ず出てきますので、まずそれをピックアップして、じゃ何でその時、そういう感情になったのかを深掘っていきながら一般化して、それを具体的に今解決したい課題に当てはめていくと、どういうことができるのか。具体的な例を持ってご紹介していきます。

「釣りでたくさん魚が釣れたのが面白かった」というような原体験があったとします。「確かにそういうのを面白いよね」っていうような共感がチームの中で出たら、では何が面白かったのかっていうのを是非話し合っていただいて、その結果、「釣った魚を捕った瞬間ではなくて、実際に家に帰ってきてさばいて料理にして、家族に振る舞った時に、みんながすぐおいしいおいしいと食べてしまった。その瞬間が一番感情のピークだった・面白かった・嬉しかった」ということだったら

その感情を一般化していくと、あくまでそれは釣りではなくて、手間ひまかけたもので、大切な人の為にそれを考えて作って、それを贈った相手が喜んでくれる瞬間が一番嬉しい」ということまで分解し一般化できたら、それを色々な課題にフォアキャストしていきます。

例えば香水だったりとか、消臭剤っていう香りを商売にしているような日用品であれば、機能的にはどれだけ長持ちするかっていうのが価値ではあるとは思うんですけれども

情緒的な価値にアプローチをしていくと、例えば“1日しか”香らないけども、それを作るのにとても手間ひまが掛かっているという特別感が一つの価値として訴求できるのではというようなアイデアができるかなと思います。
(「長持ち」という固定観念を逆手にとって「その瞬間」に価値を見いだす)

- 「アイデアの出し方」振り返り:

というような形で、具体的な方法を含めて第1回目「アイデアの出し方」をご紹介をいたしました。

全体の流れは、今画面(下記画像)に出していますが、

是非振り返っていただきながら、もし分からない部分があったら、そこまで戻ってまた見ていただければと思います。


■ 次回以降の講義内容について

短い時間なので、ここまでのご紹介になりますが、カリキュラムの中ではこの後、具体的にどうやってアイデアを作るのかや、その中でそのアイデアをどうやって具現化するかのフレームワークだったり、より細部にわたる形のゲーミフィケーションや、具体的にサービスをどう作っていくかのプロジェクトマネジメント、プロセスの話をしていきながら、じゃあどうやって届けていくのかっていうマーケティングの領域まで、体系化した形のカリキュラムになっています。

本日は第1回目ということで、「アイデアの出し方」についてご紹介させていただきました。今後もセガ エックスディーとしては、CX School のカリキュラムをご紹介していければと思いますので、よろしければチャンネル登録もお願いいたします。

バイバイ。


講師:伊藤 真人|株式会社セガ エックスディー

株式会社セガにゲームプランナーとして入社。モバイルを中心に複数タイトルのゲームディレクターを担当。非ゲーム新規事業領域に転籍後、スマホゲーム向けマーティングプラットフォーム Noah Pass の立ち上げにディレクターとして参画。その後、事業戦略立案、事業提携、開発管理など幅広く事業に携わる。現在はゲーミフィケーション事業を展開するセガ エックスディーの取締役執行役員 COO として主に CX デザインを担当( HCD-Net 認定 人間中心設計専門家)。


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