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地域振興で広がるゲーミフィケーション活用

デジタル技術とゲーム要素を駆使して地域の魅力を引き出し、地域振興や経済活性化を図る取り組みとして、ゲーミフィケーションが活用されるケースが増えています。今回は、それらの事例をピックアップしてご紹介します。それぞれの事例が地域住民と訪問者の両方にとって魅力的な体験を提供し、地域の発展に寄与しています。
それでは、さっそく見ていきましょう。


 
地域振興におけるゲーミフィケーション活用の具体事例

1. 「大阪城トライアスロン」をメタバースで再現しイベントの魅力を発信

画像引用元:Meta Osaka

大阪城の東外堀がスイムコースに含まれることでも有名な「大阪城トライアスロン」。2007年から開催され、2024年に第6回目の開催を迎えた「大阪城トライアスロン」は、新たに米Epic Games社が2017年にリリースしたユーザー数5億人超の人気オンラインゲーム「Fortnite(フォートナイト)」内で再現されました。ゲーム内では、自転車の代わりにオートバイが使用されるなど、仮想空間でも楽しみながら「大阪城トライアスロン」の魅力を疑似体験できます。
 
具体的には、大阪に特化したメタバース事業を展開する株式会社Meta Osaka(大阪府)が、「Fortnite」内に、株式会社リンクス(大阪府)がオリジナルマップ「OSAKA CASTLE SPEED TRIATHLON」を公開し、そのバーチャル空間で「大阪城トライアスロン」を再現したものです。これだけでなく、昨年本大会と同時開催された子ども向け職業体験イベント「みらいのたからばこ」で、300人以上の子どもたちが制作したペーパーハウスによる街並みもバーチャル空間で再現しています。

画像引用元:Meta Osaka

この取り組みは、教育や地域振興におけるデジタル技術活用という背景があり、教育現場や地域コミュニティに対し新たな学習体験を提供しています。今回の「OSAKA CASTLE SPEED TRIATHLON」は、単なるゲームにとどまらず、教育や地域社会とのつながりを持たせ、デジタル技術を利用し、未来の社会に貢献することを目指したものです。

企画のポイントは以下の通りです。

  • 疑似体験:ゲーム内で大阪城を探訪しながら、現地に行かなくともトライアスロン競技に参加できる

  • 認知向上:リアルイベントと連動し、ゲームを通じて参加者の関心を引くことで、これまで関心を持っていなかった層に対する認知向上に寄与

  • 地域の魅力発信:世界中の「Fortnite」ユーザーに「大阪城トライアスロン」の魅力を紹介

Youtube内「Meta Osaka チャンネル」に動画がありますので、そちらをご覧ください。
※参考:https://g-dx.jp/archives/150121
 

 
2. 話題の探求学習プログラム「SDGsヒーローを活用した産官学・地域連携型探究学習」

画像引用元:PR TIMES「株式会社ギルドヒーローズ」

沖縄県沖縄市の仙台育英学園高等学校広域通信制課程ILC沖縄の探究学習で、2023年10月~2024年1月まで実施した「SDGsヒーローを活用した産官学・地域連携型探究学習」は、株式会社ギルドヒーローズ(東京都)と学校法人仙台育英学園(宮城県)とが探究学習(総合的な探究の時間)の共同教育研究を行った産学連携プログラムです。
 
この取組みは、沖縄市のご当地PRと地方創生プログラム開発・実施を目的とした連携協定の締結からはじまり、沖縄市や学校内外とのパートナーシップ、SDGsゲームの制作、マンガスキル講座、起業家入門講座、SDGsヒーロー制作などの地方創生教育プログラムを共同開発し、ILC沖縄での探求学習の授業で実施したものです。
 
その授業の中で、「自らを考えるSDGsゲームの制作」があります。沖縄市役所による都市計画の授業での学びを参考に、高校生たちの地元、沖縄市のSDGsの取組みを個人、企業、国家の視点で考え、教育ボードゲーム「SDGsワールド(非売品)」のカードを制作しました。「SDGsワールド」は、実際のSDGs推進活動へと行動を促すことを目的としたボードゲームです。プレイヤーがSDGsの目標達成に向け、学びながらリアルな活動に参加し、自身の体験やアイデアをゲームに取り込むことで、ゲームを制作しながらSDGsへの意識向上を促す設計です。

画像引用元:PR TIMES「株式会社ギルドヒーローズ」

企画のポイントは以下の通りです。

  • 産学連携:自治体や企業が連携することにより、得ることができる新たな学習体験

  • ゲームによる学習:SDGs達成のためのアイデアをゲームやマンガ形式で学ぶことで、興味を引きつけながら理解を深めることができる

  • 実践的なスキル習得:プレゼンテーションスキルや起業家精神の育成

※参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000111490.html
 

 
3. 「関西いきもの駅スポ」地域の生態系に関する知識を深める

画像引用元:MUIC Kansai

一般社団法人関西イノベーションセンター(大阪府)と株式会社バイオーム(京都府)が関西の鉄道会社5社と連携し、ネイチャーポジティブ[※1] 社会の実現を目指した2024年4月26日(金)~6月30日(日)までの期間限定イベントです。専用アプリをインストールすることで参加でき、スマートフォンのカメラで生き物を撮影するとAIがその生き物を判別します。その珍しさに応じて獲得ポイントが変わる仕組みで、参加者が撮影した生き物の情報を参加者間で共有し、地域の生態系に関する知識を深めることが目的です。

ゲーム感覚で生き物をコレクションし、与えられたクエストを完了すると、限定鉄道カードがもらえるインセンティブも付与されることで、思わず集めたくなる仕掛けが組み込まれています。

[※1] ネイチャーポジティブとは、日本語訳で「自然再興」といい、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」こと

企画のポイントは以下の通りです。

  • 自然保護意識の啓発:子どもから大人まで楽しめる生き物観察を通じて自然保護意識を啓発

  • 地域理解:ゲーム感覚で生き物をコレクションすることにより、地元の生態系や自然環境を学ぶ機会を提供

  • 地域の環境保全&価値向上に寄与: 多くの方がイベントに参加することにより、生態系を把握し、環境保全の仕組み構築や地域の価値向上に寄与

※参考:https://g-dx.jp/archives/150097

 
4. 方言対応AI健康増進アプリ「すっだい」で高齢者が親しみやすい形で健康アドバイスを提供

画像引用元:PR TIMES「株式会社Creator’s NEXT」

山形県西川町が株式会社クリエイターズネクスト(東京都)と開発した健康増進アプリ「ずったい」は、「方言を理解し、音声応答するAI」が搭載され、方言を理解し、話し相手になりながら、オリジナル健康体操を勧めてくれます。同アプリは、高齢者の健康寿命を延ばす目的で、町内の約1,800世帯に配布しているタブレットで利用できるよう開発されました。

アプリ開発にあたって、町民4人の山形弁3,500文の音声を学習して取り込みAIに学習させることにより、利用者である町民の方言を理解し、話し相手になってくれる音声応答型のAIとなっています。

画像引用元:PR TIMES「株式会社Creator’s NEXT」

さらに、町内を歩いてチェックポイントで表示される未来のAIからの謎解きゲームを楽しめる仕掛けや、町民参加のドラマが再生されていく仕組みを取り入れ、健康増進に楽しく取り組める工夫がされています。

企画のポイントは以下の通りです。

  • 地域密着型健康支援:方言対応AIにより、高齢者が親しみやすい形で健康アドバイスを提供

  • エンタテインメント性:アプリ以外に、謎解きゲームも楽しみながら健康管理をサポート

※参考:https://g-dx.jp/archives/149602

 
5. 「まちがい探し」で、自分の住む「まち」の問題や魅力を可視化⁉

株式会社セガ エックスディー(東京都)と税理士法人あさひ会計(山形県)は、山形県金山町と連携し、地方公会計や行政施策を紹介する冊子『金山町ちがいさがし』を2022年11月に発行しました。この冊子は、あさひ会計が持つ地方自治体向けの会計領域のノウハウと、セガ エックスディーが得意とするゲーミフィケーションの手法を活用し、町の施策に対する町民の理解や町の財政への関心を高めていただくことを目的としています。特に表紙には、現在と未来の町の様子を比較した「まちがい探し」が取り入れられ、視覚的に情報を伝えるデザインとなっています。この取り組みは、行政と町民のコミュニケーションを深めるための試みです。

楽しいコンテンツやゲーム的要素を取り入れることにより、通常は関心を持ちにくい行政施策や地方公会計の情報に対する心理的なハードルを下げています。これにより、町民が自然と情報にアクセスし、関与する動機づけを高めています。

企画のポイントは以下の通りです。

  • モチベーション向上:表紙に現在と未来の町の様子を比較する「まちがい探し」を採用し、町民が楽しみながら主体的に情報に触れることができるよう工夫

  • 視覚的情報伝達:インフォグラフィックの手法を取り入れ、視覚的にわかりやすく情報を提供

本件は、以下にも詳しくまとまっているので、是非ご覧ください。


まとめ

今回ご紹介した事例のように、地域振興における課題は多岐にわたりますが、「ゲーミフィケーション」や「エンタテインメント性」を活用した体験設計は、自治体や行政広報などの情報発信の分野でも、広く活用されるようになってきました。

地域住民と地域外の方々(訪問者)の両方に魅力的な情報発信と体験を提供することにより、それぞれが主体的に取り組むことや心理的ハードルを下げることで、地域の経済・文化の発展に貢献できることが、ゲーミフィケーション活用のメリットと言えるでしょう。

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