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組織の生産性向上に必要な『セールスイネーブルメント』の効果を最大限発揮するためには?

セガ エックスディー プロダクトマネージャーの黒田です。
今回は、昨今注目が集まっている「セールスイネーブルメント」について解説したいと思います。

セールスイネーブルメント」とは?ー
セールスイネーブルメントは、テクノロジーを活用して売上を上げる仕組み作り、営業人材を育てる仕組みなど、「組織全体で行う、売上を最大化するための営業組織の強化や最適化の取り組み」を一括りにまとめたものです。


■ セールスイネーブルメントが求められる背景

日本では現在少子高齢化により、就労人口の減少が嘆かれています。その中で、定年退職年齢の引き上げや女性の労働参加など、一人ひとりの生産性の向上にまつわる施策が、対策としてあげられてます。かつては「優秀な人材を採用して営業を強化する」「人を増やして人海戦術で営業をかける」など、属人化や数で勝負するようなこともありましたが、それでは組織が回らなくなっていきます。このような事態を防ぐため、組織全体で営業力を高める仕組みとして求められてきたものがセールスイネーブルメントです。

 

■ 具体的な事例の紹介

セールスイネーブルメントを取り入れた事例を紹介します。
※出展:セールスイネーブルメントの導入に成功した事例8選
    株式会社Xpotential_Enablement App_導入事例
    

1.Sansan株式会社

Sansan株式会社では営業人材の育成、人材定着や生産性低下に課題感がをもっていたことから、セールスイネーブルメントとして、達成率をKPIで管理するオンボーディングプログラムを構築したとのこと。
具体的には営業における各プロセスでやるべきこと、事例、失注しやすい場面を明確化し、新たな人材でも「今何をすべきか、何に気を付けるべきか」がわかるようにすることで効率的な人材育成を行い、生産性を向上させたようです。

2.NTTコミュニケーションズ株式会社

NTTコミュニケーションズ株式会社は、長期的に営業改革を行う中で「営業スタイル」の変革が必要という課題があり、セールスイネーブルメントを推進するためにSFA(Sales Force Automationの略)を活用したデータ基盤を元にした仕組みづくりをおこなったようです。
SFAを用いてセールスのデータを収集するために、情報入力に対して「強制」と「称賛」を行っているようで、「強制」は、とにかくSFAへの情報入力を徹底させるルール/環境を作ること。しかし、それだけでは忙しい中に+αで導入されたSFAへの情報入力は浸透せず、そこで「称賛」を取り入れたようです。「称賛」では、社員の入力情報に対して「いいね」や「コメント」をすることで、情報が見られていることを意識させ、情報入力者自身が他のメンバーを意識する環境を作り上げ、セールスデータの収集が円滑にすすむ環境を構築されたようです。

セールスイネーブルメントの成功事例を取り上げましたが、なぜ成功出来たのでしょうか。一つ共通することは、「組織全員が仕組みを取り入れて活用していたこと」です。セールスイネーブルメントを実施しようとする際には、基盤を作る必要がありますが、それによってこれまで以上に「やることが増え」たり、やる意味を見いだせない、やる気が起きない、ということは往々にしてあります。これはセールスイネーブルメントに限らず、業務効率化を含め他のツールにおいても同様です。
 
では何故、組織全員が仕組みを取り入れて活用できたのか。私は、それぞれの成功の裏側に「ゲーミフィケーション」の活用があるのではないかと考えています。Sansan株式会社では”進捗や目標の可視化”と”何をするべきか明確になっている事”、NTTコミュニケーションズ株式会社では”互いに称賛を送ること”を中心に他者を意識させることが、ゲーミフィケーションの仕組みと紐づいていると思います。 

ゲーミフィケーションってB toC向けで、B toBでは活用できないんじゃないの?

少し話は変わりますが、よくこんなご質問をいただくことがあります。
たしかに、ゲーミフィケーションの事例が多いのは B to C サービスではありますが、B to B サービスに使えないということはありません。むしろ B to B サービスでは、導入後にサービスが社内で浸透するか、従業員が積極的に使うのか、導入による改善効果を実感できるのか、が導入評価の指標として非常に重要です。そしてそれを強力にサポートできる部分がゲーミフィケーションにあると考えています。
次は、具体的な具体的なアイデアを交えてどのようにゲーミフィケーションを活用するのかを見ていきましょう。


■ セールスイネーブルメントの効果を高める具体的なアイデア

セールスイネーブルメントの活用は、導入企業が会社全体で取り組む必要があります。従業員に対して一方的にやってくれ、という状態では、従業員は能動的に取り組むことは難しく、結果的に導入による効果は限定的であったり、低減していきます。
では、どうすれば組織全体で取り組むことが出来るのでしょうか。

「ついやりたくなる」人を動かす8つの属性

セガ エックスディーでは「ついやりたくなってしまう」8つの属性を定義しています。

ゲーミフィケーションボード

今回はセールスイネーブルメントと「進展性」、「社会性」を組み合わせたアイデアをご紹介します。

進展性
進展性とは「進歩実感」によってモチベーションが刺激され、行動が喚起されることを活用する手法です。

社会性
社会性とは「他者を意識すること」によって動機付けられる人の特性を活用する手法です。

 

■ セールスイネーブルメント×「指標可視化」×「周囲比較」

前提として、組織に属する一人一人の営業スキルを上げたい、という課題があった時、ここでの「営業スキル」がそもそも明確になっていないケースが数多くあります。
この営業スキルの各項目や定義を正確に定める必要がありますが、その話をすると 5 倍以上の文章量になりかねないため、今回は割愛いします。

まずは「指標可視化」についてです。
今回は仮として「コミュニケーション能力」「課題仮説能力」「ヒアリング力」「行動力」「ロジカルシンキング」と設定し、これらのスキルをステータスの計算方法を定め数値化し、可視化しておきます。
そうすると、営業にとって必要なスキルが可視化され、自分に足りない能力がわかりやすくなります。それだけでなく、都度商談内の情報を蓄積し、データを数値化することで良くなっている部分や課題が可視化され、何をすべきかが明確になります。
そして、数値が明確になることで、自分の成長実感を感じることが出来、サービス利用の促進へ繋がっていきます。

そして次に「周囲比較」についてです。
営業経験者であれば、誰もが売上目標やアポ目標などの数値を設定し、チーム内で比較された経験があると思います。(他人に負けてもいい、と言う人は少ないでしょう。)実際に対戦ゲームをしていても「友達に負けたくない」「負けたら悔しい」という気持ちがあると思います。最終的には数字がモノをいう世界ですが、商談数や受注数の実績値を出すだけでなく、しっかりと比較を作り、勝ちたいと思わせる状況を作ることが重要です。売上額によるインセンティブだけでなく、「アポ数」「アプローチ数」「他者への貢献度」など、特定の要素で1番の人をしっかり表彰し、「勝ちたい」と思わせることが重要です。競う相手は社内でも、業界平均でも良いです。

こうすることで、ユーザーは自身の成長を実感しながら勝つことの喜びを感じて組織全体が使い続ける、成長し続ける仕組みを作れるのではないでしょうか。

 

■ まとめ

いかがでしたでしょうか。セールスイネーブルメントは組織全体で社員が協力して使い倒して初めて効果を最大限発揮することが出来ます。
セールスイネーブルメントに限らずBtoBサービスでは「社員が全然使ってくれない」「社内で浸透しない」という話をよく伺います。
事例の中でもあったように、ゲーミフィケーションを活用することで任意のアクションに対して動機付けすることができ、導入したセールスイネーブルメント施策の効果をより高めることができるので、是非ご自身のビジネスにもお役立ていただけますと幸いです。


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執筆:黒田 恭平|株式会社セガ エックスディー

大手銀行を経たのちに、新規事業特化のコンサルティング会社にて、ECサービスやSaaSプロダクトを中心に営業、マーケティング、カスタマーサクセスを経験。
最年少事業責任者兼地方支社長として、新規事業の立ち上げを主導。
Webを活用した新規事業における企画やCPF~グロース領域を得意とし、株式会社セガ エックスディーに入社後は、ディレクターとしてクライアント企業と共にエンタメを活用した、新規事業の企画開発を担当している。
日々アニメとマンガばかり見ていて、その数は計800作品以上。


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