ロイヤリティ向上のカギを握る『パーソナライゼーション』が『CX(顧客体験)』に与える影響とは?
セガ エックスディー ビジネスプロデューサーの矢口です。
今回は、日経クロストレンド「今後伸びるビジネス2024年上半期」でも取り上げられた「パーソナライゼーション」について解説したいと思います。
消費者一人ひとりが自分の趣向に合わせて形や色を選べたり、体質などにマッチするようカスタマイズできたりと、ここ数年パーソナライゼーションが可能なサービスが増えています。
パーソナライゼーションが求められる背景
デジタル技術の進化は2024年も続き、ビジネスプロセスの自動化やデータ駆動型(データを元に次のアクションを決めること)の意思決定へシフトするようになってきました。企業はAIやビッグデータなどを活用して顧客行動を予測し、よりパーソナライズされたサービスを提供することで、ユーザーのリテンションを高めサービスの競争力を維持します。
デジタルが社会に浸透し、あらゆるサービスがコモディティ化しつつある中で、ユーザーが「使いやすい」、「使いたくなる」といった“体験価値”に重きをおいたサービスの重要度の高まりと同時に、パーソナライゼーションが注目されています。
パーソナライゼーションがCXに与える影響
CX(顧客体験)の向上は、サービスの競争力を維持するための重要な要素となっています。その中でも、パーソナライゼーションは顧客一人ひとりのニーズに応じたカスタマイズを行うことで、顧客満足度やロイヤリティを高める有力な手法といえます。以下にその主な影響を挙げます。
1. 顧客満足度の向上
ユーザーは自分に特化した提案を受けることで、企業が自分を理解し、配慮していると感じます。これにより、顧客の満足度が高まります。
2. ロイヤリティの強化
パーソナライズされた体験は企業とユーザーとの信頼関係を深め、リピート購入や長期的な関係構築につながります。
3. 売上の増加
個別にカスタマイズされたオファーやリコメンデーションは、ユーザーの購買意欲を高め、売上の増加を促進します。
4. エンゲージメントの向上
パーソナライゼーションは、ユーザーとのコミュニケーションを活発にし、エンゲージメントを高めます。
これらの影響要素を組み合わせることで、企業はユーザー一人ひとりに対して特別な体験を提供することが可能になります。
具体的な事例
パーソナライゼーションをいち早く取り入れている事例を紹介します。
1. Amazon
ユーザーの購買履歴や閲覧履歴を基にした個別のリコメンデーションシステムを構築しています。このシステムにより、ユーザーは自分に合った商品を簡単に見つけることができ、体験価値が向上しています。さらに、個別のプロモーションやキャンペーンを通じて、ロイヤリティを高めています。
2. Body Granola(カルビー)
ユーザーに検査キットを届け、全57タイプの中から一人ひとりの腸内環境にあったグラノーラを定期的に届けるサービス「Body Granola(ボディ グラノーラ)」を2023年4月にスタート。2024年4月には、管理栄養士とのマンツーマンによる食事のコーチング(1回 30分)が受けられる付加サービスの提供も始めています。
3. スターバックス
モバイルアプリを通じて顧客の購入履歴や嗜好を把握し、パーソナライズされたプロモーションや特典を提供しています。例えば、特定の顧客にはその人の好みに合った新商品の案内や限定オファーを配信することで、リピート購入を促進しています。
パーソナライゼーションの効果を高める具体アイデア
パーソナライゼーションは、顧客体験(CX)の向上に不可欠な手法です。
ただ、1点注意したいのは、どんなに高度にパーソナライズされたサービスも、“押し付け”になってしまってはユーザーから拒まれる、という点です。
パーソナライゼーションとは、ユーザーに寄り添い、心地よく感じてもらうことで、ロイヤリティを高める手法です。ユーザーが心地よく感じるポイントとは、ユーザー自身が何かを「アクションした」という体験にあります。
よって、パーソナライズしているため、アクションする動機は通常よりも高まりますが、そこに「したくなる」「買いたくなる」動機付けを付加することにより、パーソナライゼーションをより効果的にすることができます。その動機付けの手法が「ゲーミフィケーション」です。
「ついやりたくなる」人を動かす8つの属性
セガ エックスディーでは、「ついやりたくなってしまう」8つの属性を定義しています。
今回は、パーソナライゼーションと希少性を組み合わせたアイデアをご紹介します。
希少性
「希少性」は、手に入りにくいものを好むという属性です。
期間限定セールの文字を見かけて特に欲しいものはなくても確認してみた経験や、先着100名のキャンペーンにエントリーをした経験がある方もいるでしょう。制限や限定がされたものの価値を過⼤に評価し、購買などに対して強く動機付けがなされる属性が希少性です。ゲームUXでは「1日1回限定」「超レアアイテム」などが挙げられます。
パーソナライゼーション ×「約束」×「消失」
アプリケーションの場合、パーソナライズされたプレゼント(またはオファー)を受け取るための「受け取りボタン」を設定します。
ユーザーは「受け取りボタン」を押すことで、プレゼントを受け取ることができるようになります。ユーザーとサービスとの「約束(コミットメント)」を交わすことにより、一貫性のある行動を取りたくなる心理に誘導します。
また、そのプレゼントには「◯◯分後に利用しないとその権利を消失するかもしれない」など偶発制限の「消失」を付与します。ここでのポイントは、消失を確定するのではなく、一定の確率で「消失するかもしれない」という偶発性を残すこと。このような仕掛けを加えることにより、パーソナライズされたプレゼントを失うかもしれないからなんらかの方法で保持し続けたい・利用したいという欲求を刺激することで、ユーザーをサービスに繋ぎ止め続けることが可能になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。パーソナライゼーションは、あらゆるサービスのリテンションを高めロイヤリティを向上させる考え方です。
また、ゲーミフィケーションを活用することで、より効果を高めることができますので、是非ご自身のビジネスにお役立てください!
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執筆:矢口 岳史|株式会社セガ エックスディー
ゲーム業界にてマーケティング、事業開発を経験。現在はセガ エックスディーのビジネスプロデューサーとして、パートナー企業と共に新規事業開発を担当している。2017年1月にサウナにハマり、以来週5回ペースで通う。ホームサウナはえこだ湯。サウナ・スパ健康アドバイザー。熱波師。
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