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ベイブレードに学ぶ、大人がハマる仕掛け


みなさんこんにちは。ベイブレードしてますか?
セガ エックスディーの三ツ橋です。

この記事では、30代男性である私がベイブレードにハマるまでの過程を分析しつつ、大人がハマる仕掛けやポイントは一体なにか?を書きたいと思います。


ちなみに、ベイブレード企画開発の話は以下にまとまってます。非常に面白いので一読してみてください。

“おもちゃ業界の敵”から着想を得て誕生した「ベイブレード」80ヶ国で3億個も売れた理由は「コマと○○」の組み合わせ?
https://logmi.jp/business/articles/324621

ログミーBiz

本記事では、私自身が体験したことを分析して書いていきます。

 

ベイブレードとは?

https://beyblade.takaratomy.co.jp/about#sectionTop

タカラトミーさんから発売されているおもちゃで、いわゆるバトルホビーと呼ばれるものの一つです。日本の伝統的なおもちゃ「ベーゴマ」を現代風にアレンジしたもので、自分の好きなパーツを組み合わせて一つのコマを組み上げ、戦わせて遊びます。
1999年に発売され、現在、第3世代の「ベイブレードバースト」が展開されています。いま現在、大人になった方の中にも子どもの頃にベイブレードで遊んだ方がいらっしゃるのではないでしょうか。
私はというと、実は子どものころにベイブレードで遊んでいたわけではなく、この1年間でドハマりした人間です。最初に買ってから1年経たないうちに、気が付くと過去のものやランダムパック含めて50個以上のベイブレードが手元にありました。


ベイブレードにハマっていった経緯

子どもの頃に遊んでなかった私がなぜ大人になってベイブレードにドハマりしたのか、簡単な経緯は以下になります。

紹介されてからちょい買いに至るまで一体何が起きたのか、ドハマりのキッカケを解説していきます。


ドハマりのキッカケ① はじめてのベイブレード購入

子ども用品を買いにトイザらスへ訪れた際、ベイブレードが偶然目に留まり、紹介してくれた友人との話のネタになればいいかと思い、最新の3個パックを購入しました。
購入したベイブレードの3個パックを家に帰り開けてみると、色や形、それぞれデザインが大きく異なっていました。また、見た目だけではなく、その戦い方にも個性があることを知りました。

  • 相手を激しく攻撃するタイプ

  • その攻撃をしのぎ、守りに徹するタイプ

  • ひたすら長く回り続けて生き残るタイプ など

そこで私はこう考えたのです。

「私だったらどのタイプで戦うんだろう」

このとき基準となったのが今までの人生経験や自分の理想像です。
もちろん、子どもでも自分の好きな姿・憧れる姿は考えますが、その重みや深さは大人のほうが何倍もあります。自分が積み重ねてきた経験、思い出や理想像がそこに反映されるのです。
私は辛いことや大変なことがあっても耐え忍び生きてきた思い出が多く、ベイブレードで言うと「ディフェンス」的な生き方をしてきたと思い返し、ベイブレードでも守りで戦うディフェンスタイプを好みました。3個のベイブレードのパーツを入れ替えながら、より自分の好みにカスタムしていくと、一つのベイブレードが自分の生き様・信条を反映させた、まさに自分の化身となり、とても愛着が沸いたのです。


ドハマりのキッカケ② はじめてのベイバトル

友人とバトルをする際に、自分の生き様を反映させたそのベイブレードを戦わせてみたのですが、やはりそこは先に始めていた友人のほうが強いパーツを持っており、回すテクニックも合わさって結果は惨敗。そこで私はこう思ったのです。

「自分の生き様が、信条が、負けた…!!メチャクチャくやしい!!!」

そう、単純に負けたのではないのです。
今まで自分が積み上げてきた人生、信条、そういったものが反映された自分の化身とも言えるベイブレードが負けたのです。
自分の生きてきた人生は、信じていたものは、もっと強いはずなんだ。
その日友人が持ってきていた他のベイブレードのパーツを借りながら、こうするともっと良さそう、これなら勝てるかも、といった試行錯誤を繰り返し、バトルを繰り返していました。


ドハマりのキッカケ③ ベイブレードちょい買い

その後はベイブレードに自分の生き様、信条を反映させるべく、お店のベイブレードを物色するようになったのです。気が付くと出掛けた先でベイブレードが売ってないか気にするようになり、ちょくちょく買いながら自分の思い通りのベイブレードを作るという日々を送るようになっていました。
そこで私はこう感じたのです。

「お小遣い制のパパにも安心した金額だ...」

ちょくちょく買っても問題ない、家庭を持っている人でも自分のおサイフですぐに決済できる金額のものが多かったことが、この行為を加速させていました。


ドハマりポイントの整理

今回の体験を通じて、大人がドハマりする要素は何か整理してみます。
大人がドハマりする要素として、子どもの頃にやっていた遊び(コマ回しやベーゴマなどの原体験)を想起することで得られるある種の快楽的なこともドハマりする要因であることは前提として、そのほかのハマる要素を以下の3点としてあげさせていただきます。

自己の投影

キャラクターではない無機物であっても、人間に似通った性格や性質を持たせることで愛着を沸かせることができ、大人はよりそれが強まると考えられます。また、単一の性質ではなく同時に複数用意することで、「自分にあっているか(購入するか、しないか)」という選択肢から「どれが自分にあっているか(どれを購入しようか)」という選択肢に変えることができ、購入を促進する効果が得られると考えられます。
また、ゲーミフィケーションには「世界観設計」と呼ばれる要素があります。ストーリー(物語)があると人はそれを話したくなるというもので、これはベイブレードにも当てはまります。自分がなぜそのベイブレードを使うのか、なぜそのカスタムにしたのか、という点は自分の思い入れのある一つのストーリーとなって人に話したくなり、ソーシャルな楽しみ方も生み出すことができます。

カスタム性

ひとつ買って終わりではなくカスタムできる要素を備えると、より良い姿に近づけようという心が働きます。これによりさらに愛着が沸き、もっと良くしようというサイクルができます。簡単に言うと超高速でPDCAを回すようになる、ということです。普段お仕事で「中々効果が出ない」「失敗したらどうしよう」と大変な思いをしながらPDCAを回している大人の皆さんにとって、深く考えすぎずにトライ出来て尚且つ失敗しても誰にも怒られない環境というのは、実は非常に面白いのではないでしょうか。
カスタム性においては人間の行動心理における「ザイオンス効果」も深く関わっていると考えられます。ザイオンス効果は簡単に言うと、ある人やモノに繰り返し接すると好意度や印象が高まるというものです。ベイブレードにおいてはカスタムを繰り返すことで特定のベイブレードにより愛着が沸き、もっともっと良くしたいと思うようになりました。
「こうしたら良くなりそう」という思いをすぐに実行に移せて、何度でもローリスクで試せるというのは大人にとって魅力的であり愛着が沸きやすくなるのではないでしょうか。

価格帯

大人の目に留まったときに、すぐに決済できる(これくらいならまぁ買ってもいいか、となる)価格帯によって購入を促進させることができます。
これは人によりけりの部分ではありますが、1000円~2000円くらいの金額感だとそこまで抵抗なく購入できるのではないでしょうか(実際ベイブレード単品はこの価格帯に設定されていることが多いです)。


おわりに

今回、ベイブレードというおもちゃから大人がハマるポイントを分析してみましたが、いかがでしたでしょうか。ベイブレードに興味が出て、ちょっと買ってみようかなと思ってもらえたら嬉しいです。
ベイブレードに限らず、普段の遊びの中にも、ふと振り返ってみるとためになることが隠れているなと感じています。これからも、私の好きな「おもちゃ」や「XR領域」について考察していきます!楽しみにしていただけると嬉しいです。


執筆:三ツ橋 秀和|株式会社セガ エックスディー

おもちゃとXRが大好きなサラリーマン。二児の育児に四苦八苦しながら働くパパ。大手SIer子会社でスマートフォンアプリ開発や新規事業立ち上げ等に従事した後、セガ エックスディーに入社。企業向けDX案件で企画立案やCX設計を担当。


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