既存顧客を大切にするマーケティング手法「ファンベース」とは?
こんにちは!セガ エックスディー プランナーの松尾です!
今回は「ファンベース」について解説していきます。
皆さんは、何かのファンになった経験はありますか?
スポーツやアイドル、食品から服のブランドまで、なにかしら熱中した経験がある方は多いと思います。
そんな「ファン」が、今後のマーケティング戦略の重要な要因としてフォーカスされています。
「ファンベース」とは?
企業やブランドなどが、自社に愛着を持っているファンを大切にし、ファンを基盤としたマーケティング戦略を立てることで、中長期的な売上や価値の向上を目指していくマーケティング手法のことです。
■ファンベースが注目される背景
これからの日本は少子高齢化による人口減少により、市場自体も縮小されていきます。そのため、これまで重要視されていた新規顧客の獲得を目指すようなマーケティングは、徐々に難しくなっていきます。
また、市場自体も超成熟市場と呼ばれる多くの商品・サービスがそれぞれ高いクオリティが要求されており、機能的価値だけでは、他社との差別化が難しい状況となっています。
このような状況で売上を立てるためには、機能的価値に加えて、感動や驚きなど心を動かす情緒的価値を提供することが重要になっていきます。
これに対して「ファンベース」の考え方は、既存顧客であるファンを大切にして満足度をより高めることにより、利用者の離脱を抑え、安定した売り上げを目指していきます。
ビジネス理論として有名なものの一つに「パレートの法則」があります。結果の8割は、全体の2割の人によって生み出されているというものです。ファンベースに置き換えると、2割のコアファンを大切にすることにより売上の8割を支えてくれると考えられます。
■ファンの支持を高める方法
ここでいうファンとは、単純なリピーターではなく企業やブランド・商品が大切にしている価値そのものを支持してくれる人を指します。また、ファンはリピーターに比べてロイヤリティが高い人と定義することもできます。
しかし、ファンの本質を理解せず感覚で進めてしまうと、ファンの支持が上がらないどころか、「改悪した」と思われてしまい逆にヘイトを買ってしまう可能性もあります。
ファンベースという言葉の提唱者である佐藤尚之氏は、ファンベースにおけるファンの支持を高める重要な要素を、以下の3か条にしてまとめています。
より効果のあるファンベースマーケティングを行うためには、ファンと企業が相互的に共感し合うことで自社のどこに魅力を感じているかを理解し、より愛着を持ってもらうための施策を立てることで、確固たる信頼関係を獲得することが大切だとされています。
■具体的な事例の紹介
ファンベースで売上を向上させている企業の事例を紹介します。
1.ワークマン
製品を愛用して自発的にネットで発信しているファンを「ワークマン公式アンバサダー」に認定。商品をSNSで継続的に発信して貰うだけではなく、アンバサダーの助言で新製品開発をするというファンの声を直接拾ってモノづくりをすることによりファンの支持を受けています。
アンバサダーの意見を100%反映して作ったキャンプ商品は、年間40億円以上の売上を生み出しました。
2.コメダ珈琲
「さんかく屋根の下」というコミュニティサイトを作成。会員数は3万人を誇り、ファン同士が語り合える場を設けたり、店舗の中で撮影した写真を投稿するフォトコンテストが開催されるなど、ファンの熱量を高めて来店の促進に寄与しました。
https://komeda-sankaku.com/
3.ヤッホーブルーイング
ファンとのコミュニケーションを第一にしており、スタッフが案内する醸造所見学や、5,000 人のファンが一同に会するイベント「超宴」など、対個人向けのマーケティングを長期間行い、ファンとのつながりを育てています。
■ファンベースの効果を高める具体アイデア
ファンをマーケティングの中核に据える「ファンベース」を企業・ブランドの活動に取り入れる際にどのような施策を講じればよいか、我々セガ エックスディーのコアナレッジである独自の「ゲーミフィケーション」手法を使ったアプローチをご紹介します。
「ついやりたくなる」人を動かす8つの属性
セガ エックスディーでは人間の行動原理をベースとした「ついやりたくなってしまう」8つの属性を定義しています。そして、人々がついやってしまったり夢中になってしまう行動を、それら属性それぞれに対応する9つの要素(計72個)で構成された「ゲーミフィケーションボード」というフレームワークを活用していきます。
今回は、その中から「創造性」を使って「ファンベース」と組み合わせたアイデアをご紹介します。
創造性
創造性は、自分の意思で選べる選択肢がある時に有能感を抱く属性です。
文化祭でクラスの催しを仲間と作り上げていく過程の楽しさや、トランプのゲームで相手の手札の予想が当たった喜びをイメージしてみてください。人間は特定の制限下において、自ら選択肢を選べることで有能感が高まります。ゲームUXでは「デッキ編成」「武器の組み合わせ」といった用いられ方をしています。
ファンベース ×「共創」×「相互賞賛」
今回は、お菓子メーカーを例にお話します。
まず、Webアプリ内で自分なりにカスタマイズした商品を作り、それらを基に商品開発に関わることができる会員向けコンテンツとしてコアファン向けの交流サイトを制作します。
ファン同士が、ブランドの好きなポイントを共有し合うことができるチャット機能を設け共感をつくるほか、商品の見た目や味、形状・パッケージに至るまで特徴や良いポイントなどをファン同士で議論することにより、新たな商品開発に関われるという特別な体験を作ります。
その他、ユーザー同士がそのブランドの好きなポイントを共有し合うことにより共感の輪を広めることができ、既存商品の想定外の魅力や新たな視点でブランドに向き合うよう促すこともできます。
また、定期的に商品アイデアコンテストやリアルなファンミーティングを開催することにより、潜在的な需要の把握や、商品開発部との交流も作ることができます。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
ファンベースは、既存のファンを基盤として中長期的な売上や事業価値を高める考え方です。ファンベースを重視した取り組みを行う際は、ファンが熱中しているポイントを正しく理解することが大切です。
ただの顧客としてだけでなく、企業を支える存在であるという意識をもち、長期的に良好な関係を築く施策が重要です。
今後もファンベースに注目していきましょう。
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執筆:松尾 龍弥|株式会社セガ エックスディー
大学在籍時、メタバースで町おこしを行う会社を設立。より幅広いエンタメを活用したビジネスの経験がしたいと考え、2024年にセガ エックスディーへ入社。会員向けゲームの開発・運営やUI設計に携わる。XR・メタバース・VTuberなどバーチャル領域に関心が高く、新しいものにはすぐ飛びついてしまうタイプ。
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