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ゲーミフィケーションが解く、今のCRMにおける3つの課題

ご無沙汰しております。セガ エックスディーで広報と新規事業の管掌役員をしている片山です。
以前 note でこちらの記事「リテールテインメントによる小売業界3つのアプローチ」 を書かせていただいて以来、久しぶりの投稿になります。

先日、東日本旅客鉄道株式会社さんと、株式会社 JR 東日本クロスステーションさんとの共同で、ゲーミフィケーションの実証実験を開始 しました。
「ステーションファーム ~駅に訪れて村を育てよう~」というゲームをリリースさせていただいて、「移動と購買においてゲーミフィケーションがお客さまとJR東日本さんの事業へどの様に貢献できるか?」について、JR東日本グループのアセットやフロンティアサービス研究所の研究力と、セガ エックスディーの「行動経済学」や「ゲーミフィケーション」を簡単に提供できるSaaS:『 GameBox 』(https://game-box.info/) を使って、検証をさせてもらっています。

『 GameBox 』は、JR東日本でこども駅員が運行情報をQ&Aで答えてくれるLINE『 JR 東日本 Chat Bot 』からアクセスできるようになっています。
ぜひ登録して、日々のゲームログインや、JR東日本の各駅でのチェックイン、『 NewDays 』でお買い物した際のレシート記載番号を入力することで、ゲーム内で使用できる限定チケットが手に入り、あなただけの村へカスタマイズして楽しむことができますので、ぜひ遊んでみてもらえたらうれしいです。

この実証実験では、お客さまと移動・購買の関係において、「行動経済学的な動き」と「 KPI 」がどう関連しているのか?が大事なポイントになっています。

今回は、こういった実験の理論背景のほんの一部ではありますが、CRM とゲーミフィケーションの関係について当社で考えていることをご紹介させていただきたいと思います。


■ CRMとは

そもそも CRM は、カスタマーリレーションシップマネジメント(顧客関係管理)の略で「顧客やエンドユーザーと良好な関係を作ること」と定義されています。

皆さんもメールマガジンを受け取ったり、スタンプカードを集めているサービスがあったり、好きなサービスならアンバサダー活動やユーザー会に参加や協力された経験はありませんか?

このように CRM は、企業がお客さまと良い関係を作るための活動を総称して運営していく概念であり、マーケティングの手法の1つです。

CRM は企業とお客さまの関係についてシステマティックな管理体系を作って計画的に企業のマーケティング活動へ貢献できることから、かれこれ 20 年弱マーケティング業界で大切にされている概念になっています。


■ CRMのポイント・課題

一方で、昨今のCRM活動には大きく3つの課題があると考えています。

課題①:企業間の差別化が難しい

2022年現在の CRM の打ち手や管理体系は、良い意味でも悪い意味でも非常に体系化しています。

例えば、メールマガジン、SNS、LINEアカウント、会員アプリといった接点になるチャネル別の手法と、ポイントやセールオファー、VIP待遇といったインセンティブ内容別の手法も、どちらも一定の法則性を持っていて、書籍や WEB での情報発信も沢山でています。

私はセガ エックスディーに来る前から、CRM の新規用途開拓や新規商品開発を電通で6,7年ほど前からやってきたのですが、TikTok や Google ビジネスなど最新チャネルの登場や、CDP( Customer Data Platform )を含めたデータ環境のとりやすさ、オプトイン/オプトアウトの法整備等々、新しい手段や環境は発展したものの、その時から基本的なアプローチは残念ながらほぼ進化をしていません。

課題②:エンドユーザーへのオファーと接触コストの上昇

上記にも関連するエンドユーザー側の課題も存在します。
CRM における各種手法が整っていることで、メールマガジンや割引セールなど、ユーザーに届く企業からの情報量がとにかく多くなってしまい、ユーザーとの接点ができずに無駄打ちになったり、そのためによりマーケティングコストを使ったり、ポイントを意図せずバラマキ的に消費される可能性が高くなっていることです。
※もちろん高いコストであっても、LTV(Life Time Value=顧客生涯価値、サービスへ 1 ユーザーが最初の接触から最後の離脱までで使う価値の総額)を計算した上で意図的に施策に組み込んでいる例もありますので、それについては戦略的で素晴らしいと思っています。

課題③:お客さまとの関係が深めづらい

課題②の発展系ですが、今度は無事オファーを届けてリーチができたとしても、そのお客さまとの関係を深めることが非常に大変なことです。

最初の購入までは「お得」や「安い」など定量的で測れる「機能的価値」で販売できるものの、その後の関係づくりでは「紹介したくなる」など、「情緒的価値」へ転換していく必要があり、この仕掛けや切り替えをいかにできるかがとても大変です。

行動経済学では「アンダーマイニング効果」という法則があり、内発的動機ができているユーザーに、外発的動機づけになる例えば経済的なインセンティブを渡しすぎると、モチベーションが下がってしまうということも言われています。リーチ拡大のためにバラマキ施策をし続けると、本当のファンをつくることが困難になりやすい傾向が生まれてしまいます。


■ CRMとゲーミフィケーション

非常に手前味噌な流れではございますが(笑)、この現代 CRM における3つの課題に対して、「ゲーミフィケーションによって解決することができる」と当社では考えています。

具体的には上記3つの課題にリンクする解決へ向けた方向性をご紹介します。

※ “解決へ向けた方向性” は、必ずしも万能なものではございません。本投稿内容は、主に B to C 向けの CRM 施策向けを想定しています

『差別化しにくい ⇒ ゲーミフィケーションで差別化!』

ゲーミフィケーションを活用した UI / UX を実装すると、企業や製品・キャラクターの特長は、エンタテインメント的な表現や演出になるので、それだけで差別化が非常にしやすいものになります。
一方で、ゲーミフィケーションがより社会に浸透した際には、「ゲーミフィケーション」自体もコモディティ化する可能性があるので、当社としては常に磨き込んでアップデートしていく必要はありますが、現状は少なくとも差別化ができる価値を持っていると考えています。

『接触コストが高い ⇒ ゲーミフィケーションで活性化!』

先述の接触コストの問題も解決しやすくなります。
ゲーミフィケーションでキャンペーンのためのゲームやオウンドチャネルは、バラマキ施策とは逆のベクトルで、その内容が「楽しい」という感情でアプローチをかけていきます。
また、エンタテインメント施策としてIPなどを活用した場合は、その企業以外のファンが来てMAUにヒットする施策が組めるでしょう。
「接触したくなる」体験をどう作るか?はゲーミフィケーションが果たすべき役割だと認識しています。

『関係が深くなりにくい ⇒ ゲーミフィケーションでファン化!』

「その企業が好きになる」ということも、情緒的価値に比重を置いたゲーミフィケーションやエンタテインメントをかけあわせることで可能になると考えています。

ゲームそのものを CRM で使っているこちらの記事の施策でも、お客さまをファン化する効果が表れています。「ゲーミフィケーション」は、経済的なインセンティブに依存しなくても「その企業・ブランド・製品が好き」という理由で選んでもらえるようにする効果が期待できます。


これらの施策展開は、「ゲーミフィケーション」の「心を動かす力」を活かして、先述した3つの課題を解決し、その企業独自の CRM 活動ができるようになると我々は考えています。
また、あらゆる物事の消費がはやくなり、モノが溢れかえる現代において、“手間をかけ過ぎずにクイックに検証する”という観点も非常に大切な要素になってきている中で、『 GameBox 』の様にアセットが予め用意されていて企業毎にカスタマイズできる SaaS 型の CRM ソリューションは一つの有用な選択肢になるのではないでしょうか。


■ 「CRM×ゲーミフィケーション」のナレッジをご紹介

ご覧いただいた上記内容は、まだ触りの部分ではありますが、当社では「 CRM 」と「 ゲーミフィケーション 」の重要性をナレッジ化しており、この度「 ゲーミフィケーション × CRM 」でできることをまとめた完全無料の“eBook”の配布を開始しました。

上記のベースとなる考え方をさらに深堀りしつつ、具体的な KPI との関係や当社の取り組み、打ち手をわかりやすくまとめています。
ぜひダウンロード をしてみてください!
※ eBook の取得は、上記「ダウンロード」又は下記「画像」をクリックしてください

セガ エックスディーでは、ゲーミフィケーションを使った新規事業支援やマーケティング支援を鋭意推進していくので、ぜひご一緒できそうなことがありましたらお気軽にご連絡ください!

よろしくお願いいたします。


執筆:片山 智弘|株式会社セガ エックスディー

大学院時代にイーラーニングで起業、事業売却。その後、電通にて新規事業開発に一貫して従事。2019年7月、電通とセガ エックスディーの資本業務提携を契機に経営へ参画。広報マーケティングと新規事業の管掌役員。朝がとても弱いが、いつかゲーミフィケーションで解決できないか考えている。


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