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【CX School】第2回 CXフレームワーク学習

CX School 』とは、セガのグループ会社、セガ エックスディーによる顧客体験( CX )設計の専門家養成プログラムです。 普段は企業の人材育成や社員教育として本プログラムを提供していますが、もっと皆さんに知ってもらう為に、プログラムの一部を Youtube の『 CX School 公式チャンネルで順次公開していくことにしました。

また、note上では、Youtubeで公開されている内容をテキストと画像でも順次公開していきますので、Youtube/note お好きな方で皆さまのお仕事のお役に立てたら嬉しいです。

今回は『【CX School】第2回 CXフレームワーク学習』と題して、Youtube動画の第2回目を、テキストと画像でお届けします。



■ 今回の講義内容

本日は「CXフレームワーク学習」についてお話しますので、CXスクール第1回目の動画をご覧いただけた方も、本日が初めてだという方も、ぜひ最後まで聞いていただければと思います。


■ UXとCXとの違いとは?

CXと似ている言葉で「UX」という言葉を聞いたことがある人もいるかと思いますが、なかなか端的に答えられる人は少ないのではないでしょうか。ここでは、それぞれの違いについてご紹介をしていきます。

私たちは、「そのサービスを触れている期間の体験」のことをUXと呼んでいます。一方で、「そのサービスを使う前や使っている間、使った後も含めた形で生活全体」のことをCXと呼んでいます。すなわち、生活者の生活そのものの体験デザインがCXデザインだと私たちは捉えています。

- CXデザイン=行動そのもののデザイン:

「CXデザイン」、つまり生活者の全体の体験デザインという点は、すなわち行動そのもののデザインだと言い換えることができると思っています。生活者の行動をどういう形でデザインしていくのか、ここが大きなポイントです。

また、行動のデザインという観点で言うと、2つの考え方があるのでご紹介します。

- フォッグ式消費者行動モデル:

1つ目は、フォッグ式消費者行動モデルと言われている「行動(Behavior)+動機 (Motivation)+ 実行能力(Ability)+ きっかけ(Trigger)」、この3つの要素が組み合わさって行動が促されるというものがこの方程式の考え方です。

例えば、「ダイエットのために運動しよう」と行動を促したい時に、先ほどの3つの言葉の要素が実際にどう起きているかを説明します。

まずは運動。
スクワットやランニングは、できるかできないかで言うと能力としてはできますよね。その上で、”なぜやらないのか”に関しては、「動機ときっかけが必要である」という解釈です。

なので、「体重が増えてしまった」というのは一つの動機ですし、「好きな人ができたから見た目を気にしたい」これも一つのきっかけなので、そもそもの内在的な動機があるかどうか。さらに、それを強化するためのきっかけが組み合わさった時に「じゃあ、ダイエットのために運動しよう」という行動が促されます。

これがフォッグ式消費者行動モデルとして、行動のデザインの1つの考え方です。

今回のCXデザインで取り扱う部分は「動機」と「きっかけ」。
この2つがCXデザインで取り扱う領域です。

いかにして動機づけをするか、いかにしてきっかけを作るかが主な考え方になります。

- ゴールデンサークル理論:

2つ目のご紹介は、こちらも有名なゴールデンサークル理論と呼ばれている考え方で、これは「人間はどういったもので行動が促されるか」という概念です。

「なぜそれをやらなければいけないのか」「なぜをそれをやるのか」「なぜそれは惹きつけるのか」というようなWHY。それを「どうやってやるのか」というHOW。「何をやるのか」というところのWHAT。この3つが層になり円状になって最終的に人を動かすことができる、という構造で説明されているものです。

我々セガ エックスディーは、このゴールデンサークル理論の考え方を使いながら、より具体的にどのような形でサービスに落としていくのか、どうやってサービスやデザインに生かしていくのかをフレームワーク化しています。


■ 「思想・発想・実装」3つの定義

大きくは、前述のWHYHOWWHATでご紹介しましたが、覚えやすいように「思想・発想・実装」と、この3つを定義しています。

1つずつ考え方やフレームワークがあるのでご紹介していきます。

- 思想:

まず「思想」は、ざっくり考えると「何でそれをやるんだ」「なぜ、それをやるべきなんだ」というような理由付けなので、考えるべきは個人の将来と社会の将来です。この2つが両方ともポジティブにならなければ、そこに大義はなく理由もありません。それが現在世の中ではパーパスと呼ばれていたりもします。

では、それをどう考えていくのか。
過去からの流れの中で個人の未来がどうなっているのか」、「社会の未来がどうなっているのか」、この2つが両方ともポジティブになれるものは何なのか、なぜそれをやるのかを導いていく考え方をしていきます。

フレームワーク化してシンプルに誰でも作れるといったものではなくて、個人としてどうありたいか、社会としてどうあるべきなのかについてしっかりとチームの中で話をしながら同じ認識を作っていくことが、CXデザインの中でも非常に重要なプロセスだと思っています。

「新しいサービスを作る」「サービスの改善をしている」プロジェクトに関わっている方は、改めてなぜこれをやるのかという問いをチームの中の共通認識として持てるといいのではないでしょうか。

- 発想:

2つ目の「発想」の部分に関しては、1回目の動画で詳細をご紹介していますが、「意外性と共感性」が基本的な考え方になります。では、意外性と共感性をどういう形で作っていくのかについては、ぜひ1回目の動画をご覧いただければと思います。

その上で、それを具体的に落としていきながら共通の言葉として定義したものを我々はコンセプトと呼んでいます。

「〇〇できる××」、つまり「このサービスは何ができる何なんだ」というものに対して、明快に一言で説明できるものがコンセプトだと思っています。

これをしっかりと定義できなければプロジェクトを進めていく中でブレていきますし、同じチームの中でも認識がズレてしまう。したがって、この定義は非常に重要です。

このコンセプトを作成は、覚えやすさ伝わりやすさ普遍なものであるといったことだけでなく、先ほどの思想のところで説明した「なぜやるのか」「世界をよくするためには、どうすればいいんだ」といった意味を含めたユニークな形で定義することが望ましいです。

そして、それを人に伝える中で、エレベーターピッチと呼ばれてるような「30秒でそのサービスの紹介をする」という定義方法もあります。

- 実装:

続いて3つ目「実装」に関しては、大きく分けて機能的価値情緒的価値、この2つの両輪が必要になります。

まず機能的価値に関しては、利用者がお得だったり便利だったり、効率的だったりなど機能的に価値を感じられるもの。
情緒的価値に関しては、嬉しいや楽しい、好きなどの感情的な良さのことです。

この2つは、片方だけだとどうしてもサービスとしては長続きしませんが、両方あれば長く使ってもらえます。好きになっていくし、機能としても便益を得られる。こういった両輪でしっかりと満たしているサービスを作っていくことが、今の社会には必要だと我々は考えています。


■ 機能的・情緒的価値を作るモチベーションサイクル

どのようにこの機能的価値情緒的価値を作っていくかに関しては決まった方法はありませんが、一つの方法としてモチベーションサイクルというものを我々はよく使います。

具体的に言うと、生活者のサービス利用前、利用中、利用後までの体験の流れの中で、実際にどういった行動を行って、どういった便益を得られて、さらにその次の体験にどうつながっていったのか、また、その時にどういうインサイトになっているのかというものを作っていきます。

ただし、カスタマージャーニーのようにフロー型で一方通行というものや、起点と終点があるものではなくて、常に継続したサイクルとしてやり続けたくなるような仕組みをモチベーションの観点から設計していくというのが非常に重要だと思っており、我々もとてもよく活用しています。

ここまでが「CXデザイン」でご紹介した思想発想実装の3つのフレームと、それぞれに対応するパーパスコンセプトモチベーションサイクルのご紹介でした。


■ 振り返りと次回以降の講義内容について

今回は、全体のフレームの考え方と、こういった方法がありますよ、というご紹介をしました。今後、それを具体的な形でどういうサービスデザインに落としていくのか、CXデザインをどういう形で作っていくのか、についても触れていければと思います。

その中で最も重要になってくるのが、ついやりたくなってしまうゲーミフィケーションの考え方。

この考え方は非常に我々としても重要だと思っているので、次回以降、そちらについてもご紹介していければと思います。

ここまでご清聴いただきありがとうございます。
第3回に向けて準備を進めていきますので、ぜひ引き続きご視聴していただければと思います。

よろしければ、チャンネル登録をよろしくお願いいたします!

ありがとうございました。バイバイ。


講師:伊藤 真人|株式会社セガ エックスディー

株式会社セガにゲームプランナーとして入社。モバイルを中心に複数タイトルのゲームディレクターを担当。非ゲーム新規事業領域に転籍後、スマホゲーム向けマーティングプラットフォーム Noah Pass の立ち上げにディレクターとして参画。その後、事業戦略立案、事業提携、開発管理など幅広く事業に携わる。現在はゲーミフィケーション事業を展開するセガ エックスディーの取締役執行役員 COO として主に CX デザインを担当( HCD-Net 認定 人間中心設計専門家)。


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